式 辞
校 長 一之瀬一彦
15年前、皆さんはわずか三千グラムの小さな命でした。泣くことしかできない赤ちゃんの時代、あなたが笑えば笑い、泣いたらなぜ泣いているのかと悩み、あなたはいつも家族の中心でした。そして、今日、義務教育最後の授業、「授業一番」、卒業証書授与式を迎えました。
本日は、三郷市議会議長 市川 文雄 様をはじめ、多くのご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、三郷市立北中学校第54回卒業証書授与式を挙行できますことに、厚く御礼申し上げます。
只今、「5つの一番」の実現に大きな成果を残した164名の皆さんに、3年間の努力の証である卒業証書を授与いたしました。「卒業おめでとうございます。」
3年前、共に北中学校の門をくぐり、今日まで生活してきました。皆さんは私の誇りであり、皆さんとの思い出は宝物です。とりわけ、記憶に深く刻まれているのは、昨年10月、初めて土曜日に開催した「歌声一番」を目指した合唱コンクールです。
皆さんの胸の奥深くから発せられた歌声、最優秀賞・優秀賞の発表を待つまなざし、発表を聞いた学級の歓声。皆さんは、仲間と協力し、心一つに取り組むすばらしさを在校生に示しました。今年は東日本大震災から5年が経過し、皆さんが2年前、三郷市読書フェスティバルで「本気・2倍」の合言葉のもと合唱した「ふるさと」は復興支援の曲でもあります。昨年の卒業を祝う会でも合唱、そして今年の合唱コンクールでは、1、2年生と共に歌いつないできました。先週の卒業を祝う会後に聴かせてくれたサプライズの「ふるさと」には心を揺さぶられました。聞こえているのは、文化会館で行われた読書フェスティバルで合唱した1年生の時の歌声です。
「ふるさと」歌詞の中に次のような言葉があります。
「進む道も夢の地図も すべては心の中にある 助けあえる友との思い出を
いつまでも大切にしたい 進む道も夢の地図も それは ふるさと」
ふるさとは、戻るたび以前の自分に出会え、自分を取り戻すことのできる場所かもしれません。ここ北中学校は、皆さんのふるさとと言えます。そして、支えてくれた多くの人たちも皆さんのふるさとです。また、ふるさとは心の中にもあり、心の中のふるさとは、思い出すたび自らを励まし、「元気で生きなさい」と力を与えてくれます。北中学校で過ごした日々、そして、今日の卒業証書授与式が、皆さんの心の中のふるさととして生き続けることを願っています。
卒業生の皆さん、人の自信と誇りと勇気は、努力と失敗を重ね、困難を乗り越えることにより得られます。ノーベル物理学賞受賞の中村修二教授は、可能性ゼロと言われた青色LEDを実現させたのは、「必ずでき
る」と信じ、成功まで実験をやり抜いたからと述べています。また、昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士は、「失敗を恐れないでほしい。誰よりも失敗した人が成功する」と語っています。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年、20歳になる皆さんが、失敗を恐れず、本校で培った必ずできることを信じ、本気・2倍で自らを鍛え、ひたむきに努力を続け、未来を切り拓くことを期待します。
在校生の皆さん、卒業生が創り上げた新しい伝統を受け継ぎ、さらに北中学校を前進させてほしいと思います。
保護者の皆様、お子様のご卒業、おめでとうございます。人生の中で、心身の変化が最も激しい多感な時期を過ごし、心も身体も成長し、今、学舎を巣立とうとしているお子様の姿を前に、感無量のことと存じます。また、これまでの本校への厚いご支援、ご協力に深く感謝申し上げます。
終わりに、164名の卒業生の皆さんの心の中に、新たなすばらしいふるさとができることを願っています。一人一人のこれからの生活の中で、本校卒業生としての誇りと「5つの一番」を忘れずに、そしてかけがえのない命を大切に、夢や希望に向かい大きく羽ばたくことを祈念し、式辞といたします。
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